シニアの話

人より寿命の短いわんちゃんたち。1歳で成犬となり、7〜8歳からはシニアとよばれます。
犬・猫の年齢
人間の年齢に換算した年齢
大型犬
小・中型犬、猫
2歳
12歳
15歳
3歳
26歳
28歳
4歳
33歳
32歳
5歳
40歳
36歳
6歳
47歳
40歳
7歳
54歳
44歳
8歳
61歳
48歳
9歳
68歳
52歳
10歳
75歳
56歳
11歳
82歳
60歳
12歳
89歳
64歳
13歳
96歳
68歳
14歳
103歳
72歳
15歳
110歳
76歳
16歳
117歳
80歳
17歳
124歳
84歳

◆加齢に伴う体の変化

口腔内の変化

シニアになると、定期的なデンタルケアをしていない限り、歯石の付着や歯周病などのお口のトラブルを抱えている子が増えてきます。放っておくと、悪臭の原因だけでなく心臓病の原因にもつながることもあります。当院では口腔内の状況を調べる簡易デンタルチェックから、食事療法、歯磨き指導、歯石除去処置(スケーリング)なども行っております。
毎日の食事を美味しく食べるためにも口腔内の状態をチェックしてあげましょう。

関節の変化

年をとると、若い頃に比べ動きが悪くなり、遊ばなくなることもあります。
これを老化現象と勘違いしがちですが、関節の軟骨部分がすり減ったり破壊されたりして、股関節・肘・膝・肩など様々な関節に痛みが出る「変性性骨関節症」という病気である可能性もあります。
お散歩時などに注意して観察してあげましょう。

心臓の変化

心臓は生命を維持する上でとても大切な臓器のひとつです。しかし、特にチワワやシーズー、マルチーズなどの小型犬は「弁膜症」という病気になりやすいといわれています。弁膜症とは心臓の中にある4つの部屋を分ける弁(ドアのようなもの)が上手く働かなくなり、血液を全身に送る事ができなくなってしまう病気です。咳をするようになった、お散歩の途中で疲れやすいなどの症状が出てきます。一度心臓病になると完全に治すことは難しいですが、早期発見することでお薬や処方食での治療を始めれば進行を遅らせることができます。

眼の変化

加齢と共に眼の中心が白っぽくなる変化に「白内障」と「核硬化症」があります。核硬化症は水晶体というレンズが硬くなり、すりガラス状に見えるようになる老齢性の変化です。見えづらくなりますが、失明はしないため生活に支障は出にくいです。同じような眼の見え方で気をつけなければならないのが白内障です。進行すると視力低下や失明したり、炎症を起こすと痛みを伴ったりします。白内障を早期に発見できれば進行を遅らせる点眼薬もあります。

腫瘍ができやすくなる

ワンちゃんの死因第1位は腫瘍です。加齢と共に腫瘍はできやすくなり、比較的異常を確認しやすい体の表面にできる腫瘍もあれば、肺・肝臓・骨など眼に見えない臓器のいたるところにできる腫瘍もあります。特に肝臓や脾臓などはがんができても症状が出ることはなく、気づいた時には手遅れということもよくあります。腫瘍を早期に発見できれば手術、抗がん剤、放射線治療などで完治または進行を遅らせることができます。

◆シニアの病気や治療でのサポート

シニアの動物に優しい診療

高齢になると様々な病気の可能性が高まります。できる限りご来院時にストレスがかからないように、動物の負担を考慮した診療を行っております。

病気の早期発見のための定期検診

高齢になるにつれ様々な病気を発症するリスクが高まります。心臓や内臓疾患など慢性化する前に早期治療が重要な病気も多くあります。病気の早期発見のためには定期的に健康診断を行うこと重要です。早期発見、早期治療を目指しましょう。

負担の少ない検査

高齢になるとちょっとしたことがストレスに繋がり、動物への負担となるケースがあります。当院ではできる限り検査においても動物へ負担が少なくできる機器や方法を用いて行っております。

負担の少ない治療

高齢になると体力や免疫が低下するため、若い頃の治療法と方針を変えてあげることも必要です。動物の状態や飼主様のご要望に応じ、負担の少ない治療法含め、複数の治療法をご提示させていただいております。

負担の少ない手術

手術時にはできる限り動物への負担の少ない方法を取り入れています。
麻酔時間の短縮や、手術時間が短くなる方法など、動物への負担軽減を常に考えております。

セカンドオピニオン

他院様にかかられている飼主様で、今後の治療方針や新しい治療法を探されている場合などに、セカンドオピニオンをお受けしております。「どういった病気か?」「なぜ今の治療で症状が良くならないか?」「他にできる治療法はないか?」など、今抱えておられるご不安を当院の獣医師と一緒に考えていく場です。
今の病院への気遣いから他病院の意見を聞くことをためらう飼主様もおられますが、動物の健康を第一に考えると選択肢を広げることは非常に重要です。もちろん当院での継続治療もできますが、まずはお話を聞きにお越しいただければと思います。

◆健康診断の重要性

健康な時期の検査数値を把握しておきましょう
定期的に健康診断を受けておくと、健康な時期の検査数値を把握しておくことができます。
教科書などに記載のある「標準的な検査数値の範囲」は存在しますが、動物個々でその正常値が異なります。健康時のデータを把握していればその子の適正範囲が分かりますので、異常があった場合にも安心です。
早期発見、早期治療が重要です
心臓や腎臓の病気、がんなどは、発生した初期段階では症状があまりないため、健康診断での早期発見が大切です。痛みなどの症状が出るころには手遅れとなっているケースもあります。
定期的に健康診断を受診していただくことで、病気の早期発見を行うことができます。
ネコちゃんは症状や痛みを隠す動物です
ネコちゃんは症状や痛みなどを隠す動物です。そのため、症状が出て来た時には既に病状が進行してしまっていることがよくあります。定期的に健康診断を受診していただくことで病気の早期発見ができます。定期的に健康診断を受診してください。
シニア特有の病気を見つける検査項目
健康診断では、身体検査はもちろん、血液検査やレントゲン検査、尿検査などを組合わせて行っていきます。
腎臓疾患、心臓疾患、腫瘍などの特に高齢期に多い病気でも血液検査で見つけることができるようになってきました。定期的な検査を行ってあげましょう。