【獣医師が解説】犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)とは?症状・原因・治療法まで|八潮市のあーす動物病院

犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)と受診すべきタイミングとは?

八潮市・草加市にお住まいの皆様、こんにちは。
あーす動物病院院長の横内です。

「時々後ろ足を上げて歩く」
「ジャンプの後に足を引きずる」
「階段の上り下りを嫌がる」
このような様子が見られる場合、「膝蓋骨脱臼(通称:パテラ)」の可能性があります。
とくに小型犬に多く見られる整形外科の疾患で、進行すると痛みや歩行困難を引き起こすこともあります。
今回は、犬のパテラについて、症状や治療法、日常でできるケアについて解説します。
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症状|犬のパテラで見られるサイン
• 歩いている途中に急に後ろ足を上げてケンケンする
• 足を伸ばしたりしゃがんだりした時に違和感を示す
• 膝を触ると嫌がる、または痛がる
• なんとなく足をかばっているように見える
• 座り方が不自然(足を横に流して座る)
• 症状が進むと歩行困難や関節の変形を引き起こすことも
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原因|なぜ膝蓋骨が外れるのか?
膝のお皿(膝蓋骨)が本来の位置から内側や外側に外れてしまう状態を「膝蓋骨脱臼」といいます。
主な原因は以下のとおりです。
• 先天的な骨格の異常(遺伝性が高い)
• 成長期に膝関節の形成不全が起こる
• 滑りやすい床や高い段差の多い生活環境
• 肥満や筋力低下による関節への負担
• 外傷(転倒やジャンプによる衝撃)
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動物病院に行くべき目安
以下のような症状が見られた場合は、早めに受診しましょう。
• 時々足を上げて歩く・ケンケン歩きがある
• 抱っこしようとすると足をかばうようにする
• ソファや階段を嫌がるようになった
• 何度も膝の脱臼を繰り返す
• シニア期になり足腰が弱ってきた
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治療|犬のパテラの治療法は?
パテラの重症度(グレード)によって、治療法が変わります。
軽度(グレード1~2)の場合
• 体重管理(肥満は負担を増やします)
• 散歩や運動の制限
• サプリメントや消炎鎮痛剤の内服
• 室内環境の改善(滑りにくい床にする など)
• 定期的な経過観察
• 早期外科手術
重度(グレード3~4)の場合
• 外科手術(骨や靭帯を整える)
• 術後のリハビリと運動制限
• 定期的なX線チェックとフォローアップ
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あーす動物病院での治療
当院では、以下のような対応を行っています。
• 触診やX線等によるグレード判定
• ワンちゃんの生活環境や年齢に応じた治療プランのご提案
• 手術が必要な場合は、ご家族と十分に相談の上、対応可能な専門施設への紹介
• 術後のリハビリプランやサポートも充実
初期段階での発見と適切な管理で、手術を回避できるケースもあります。気になる症状があれば早めにご相談ください。
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ご自宅での対処法・ケアのポイント
• 滑りにくいマットを敷く(フローリングは滑りやすく危険)
• ソファや階段にステップを設置
• ジャンプや急な動作を避けるよう工夫
• 体重管理と適度な筋肉づくり(軽い散歩やマッサージ)
• 必要に応じて**サプリメント(グルコサミン・コンドロイチンなど)**を使用
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予防|パテラを悪化させないために
• 子犬期からの適切な運動と滑りにくい環境づくり
• 段差やジャンプをなるべく避ける生活設計
• 成長期やシニア期の定期検診で早期発見
• 関節に良い食事・サプリメントの活用
• 太りすぎないよう体重管理を徹底する
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Q&A|よくあるご質問
Q. パテラは自然に治りますか?
→自然治癒は期待できません。症状に応じた管理や治療が必要です。
Q. グレード1でも治療は必要?
→軽度でも進行を防ぐためのケアは重要です。運動制限や床対策などをご提案します。
Q. 手術が必要になるのはどんな時?
→脱臼頻度が高い・歩行困難がある・関節の変形が進んでいる場合などは、手術を検討します。
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まとめ
犬のパテラは、早期発見と適切な管理で進行を防げる病気です。
普段の歩き方や生活の中で、少しでも「いつもと違うな」と感じたら、お早めにご相談ください。
あーす動物病院では、整形疾患にも丁寧に対応し、飼い主様と一緒に治療方針を考える診療を大切にしています。
大切なご家族が元気に歩き続けられるよう、全力でサポートいたします。