【獣医師が解説】犬の脱水症状とは?見分け方と原因、受診のタイミング|八潮市のあーす動物病院

犬の脱水症状と受診すべきタイミングとは?

八潮市・草加市にお住まいの皆様、こんにちは。
あーす動物病院院長の横内です。

「水を飲まないけど大丈夫?」
「嘔吐や下痢が続いていて、なんだかぐったりしている…」
そんなときに気をつけたいのが“脱水症状”です。
犬は体重の約60〜70%が水分で構成されており、水分が不足すると命にかかわる重篤な状態になることもあります。
今回は、犬の脱水症状の見分け方、原因、受診の目安、ご家庭での対応について解説します。
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症状|犬の脱水症状のサインとは?
脱水症状は、軽度~重度までさまざまですが、以下のような症状が見られることがあります。
• 皮膚をつまんでもすぐ戻らない(背中や首まわり)
• 口の中が乾いている(ネバつきがある)
• 鼻が乾燥している
• 元気がなく、ぐったりしている
• 食欲がない、水も飲まない
• 目が落ちくぼんで見える
• 尿が出にくい・色が濃い
• 体温が下がる(重度の場合)
これらの症状があれば、体内の水分バランスが崩れている可能性があります。
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原因|犬が脱水になる主な理由
犬が脱水を起こす原因は、大きく分けて以下の通りです。
1. 嘔吐・下痢
ウイルスや細菌、誤食などによる消化器症状で水分が大量に失われることがあります。
2. 発熱・感染症
体温が上がることで水分が消費されやすく、水を飲む量も減少しがちです。
3. 熱中症
高温環境に長時間いたことで体温が上がり、大量の水分と電解質が失われます。
4. 慢性疾患(腎不全・糖尿病など)
尿が多く出る病気では水分喪失が進み、脱水になりやすくなります。
5. 水を飲まない(高齢犬・口腔内の痛みなど)
飲水量が減るだけでもじわじわと脱水が進行します。
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動物病院に行くべき目安
以下のような症状がある場合は、早急な受診が必要です。
• 皮膚をつまんでも戻らない(2秒以上)
• 水を飲まない状態が半日以上続く
• 下痢や嘔吐が続いている
• 目がうつろ・動きが鈍い・ぐったりしている
• 子犬・シニア犬・持病のある犬で体調が悪そうな場合
脱水は放置すると、ショック状態や臓器障害につながることもあります。
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治療|犬の脱水に対する治療法
脱水の原因と程度に応じて、以下のような処置を行います。
• 軽度の脱水:経口補水・栄養管理・原因治療
• 中等度~重度の脱水:皮下点滴・静脈点滴による水分・電解質補給
• 嘔吐・下痢がある場合:制吐剤・整腸剤・抗生物質など
• 持病がある場合は基礎疾患のコントロール
点滴は体への負担や症状の緩和にとても効果的です。
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あーす動物病院での治療
当院では、脱水の程度を身体検査・血液検査・皮膚の状態・粘膜のチェックから正確に判断し、必要に応じて皮下補液や入院点滴治療を行っています。
「水を飲まないけど病院に行くべき?」「夏の暑さで元気がない」など、
小さな不安でもお気軽にご相談ください。早期の対応が回復への近道です。
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ご自宅での対処法
軽度の脱水や予防目的には、以下のような工夫が有効です。
• 新鮮な水をいつでも飲めるようにする
• 脱水が心配なときは、ウェットフードやスープタイプの食事に切り替える
• 電解質を含んだ動物用経口補水液(動物病院で相談の上使用)
• 高温多湿の環境ではエアコンや扇風機で室温管理を徹底
※症状があるときは自己判断せず、動物病院での診察が第一です。
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予防|日常生活でできる脱水対策
• 飲水量を毎日チェック(飲みすぎ・飲まなすぎ両方に注意)
• 季節や運動量に応じて水分の摂取方法を工夫
• お留守番の際も複数個所に水を置く
• フードに少しぬるま湯を加える
• 高齢犬・腎疾患のある犬は定期的な健康診断で早期発見を
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Q&A|よくあるご質問
Q. 犬の飲水量はどれくらいが目安ですか?
→健康な犬は、1日に体重1kgあたり50〜60ml程度が目安です。例えば体重5kgの犬で250〜300mlほど。
Q. 自宅でできる脱水チェックはありますか?
→はい。首の皮膚を軽くつまんで、1秒以内に戻れば正常です。それ以上かかる場合は脱水の可能性があります。
Q. ポカリスエットや人用のスポーツドリンクを飲ませても大丈夫?
→**人用の飲料は糖分や成分が犬に合わないため避けてください。**必ず動物用の補水液を使いましょう。
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まとめ
犬の脱水症状は、放置すれば命にかかわる危険な状態です。
日頃の観察で、「水を飲まない」「ぐったりしている」「皮膚が戻らない」といったサインに早く気づけると、早期治療が可能になります。
あーす動物病院では、脱水のチェック・点滴治療・ご自宅での対策サポートまで丁寧にご対応しています。
気になる症状がある場合は、どうぞお早めにご相談ください。